【創造的な仕事をするための秘訣】利益を第一に仕事をすれば、創造性と内発的興味は減退する

利益を第一に仕事をすれば創造性と内発的興味は減退する

起業に限らず、私達が日々行っている仕事というものを考えるとき、その仕事に対するモチベーションは成功や生産性、創造性を高めるために必要不可欠なものです。仕事は大きく、「人から依頼されて行う仕事」と「自らの意志で行う仕事」がありますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

STUDIES FIND REWARD OFTEN NO MOTIVATORには、仕事と報酬に関する興味深い研究が語られていますのでご紹介します。

古の知恵

1. 報酬に関する諸研究

実験室では、ラットが餌をもらい、教室では、勉強のできる学生が優をもらいます。そして、工場や会社では、仕事のできる労働者が昇進をうけます。「報酬はより良い成果を生む」ということは、ほとんどの人々にとって疑われることのない信念となっています。

しかし、研究が積み重ねられた結果、上記の法則はかつて考えられていた程、確かなものではないことがわかってきました。心理学者は、報酬を与えることによって、パフォーマンスの水準が低下する可能性のあることを発見しています。パフォーマンスに創造性が求められる場合が、特にそうです。

仕事に対し報酬が支払われると、仕事に対する内発的興味は、通常、低下することが一連の研究によって示されています。ここでいう内発的興味とは、 その仕事自体に行う価値があるという自覚のことです。

報酬 (それが、お金にしろ、賞にしろ、称賛にしろ、はたまた、競争に勝つことにしろ) が、活動に従事する理由としてとらえられるならば、その活動はそれ自体では余り楽しいものとはとらえられなくなるでしょう。

内発的動機づけの存在そのものを疑う一部の行動主義者を除いて、現在のところ、以上のような考えは心理学者の間でひろく受けいられている考えです。 私たちは知らず知らずのうちに、労働者や学生、そして、芸術家たちの革新的な考えに水をさし、その興味を押し潰しているのかもしれないのです。

報酬は反生産的な効果を持っているかも知れません。

この考えは多くの研究を基礎にしていますが、それらの研究から次のような発見がありました。例えば、 絵を描くことに対し報酬をうけた幼児は、単に描くこと自体を楽しんでいる幼児のようには自発的に描くことをしなくなります。

言葉遊びに対し報酬を受けた少年たちは、そのゲーム自体を余り楽しまないし、報酬を受けないでゲームをしている他の少年たちと比べて、その成績も余りよくありません。経営者の期待に沿うことで称賛される従業員は、動機づけの低下に悩んでいます。

創造性や動機づけの調査の多くは、 Theresa Amabile (Brandeis 大学の心理学の準教授) によって行なわれています。彼女は、最近の研究成果に関する論文を昨年前半に出版しましたが、その中で、幼児と大学生に関する実験を報告しています。どちらのグループも、「おかしな」コラージュを製作するように依頼されました。幼児には、お話を創作するようにも依頼されました。

教師たちによって学生たちのコラージュは評価されましたが、余り創造的でないコラージュは、報酬を見返りに実験に参加した学生たちによるものでした。

「依頼されて行う仕事は、純粋な興味によってなされた仕事よりも、一般的に創造的ではなくなるかもしれません」

と Amabile はいいます。

1985 年、Amabile は、Brandeis とBoston 大学内の 72 人の創造的な書き手に詩を書くように依頼しました。ある学生のグループは、例えば、教師に印象づけること、お金を得ること、また、大学院に進学することといった、詩を書くための外発的な理由をつづったリストを渡されました。

そして、これらの理由にそって詩を書くことを依頼されました。他の学生のグループは、内発的な理由をつづったリストを渡されました。例えば、言葉遊びを楽しむこと、自己を表現することから満足を受けること、などなどです。三番目のグループは、何のリストも与えられませんでした。すべてのグループは、それから、一層努力して、詩を書くように依頼されました。

結果は明らかでした。

外発的な理由が書かれたリストを渡された学生の作品は、他の学生の作品と比べて、余り創造的ではない上に、その作品の質も明らかに低いものでした。学生の作品の創造性、あるいは質の評価は、12 名のプロの詩人によって評定されました。Amabile はいいます。報酬、それは、創造的な仕事(高次の問題解決も含む)にとって、破壊的な効果を根本的にもっています。

「仕事がより複雑になるほど、外的な報酬によって仕事の質が傷つけられることも多くなるのです」

と、彼女はいいます。

しかし、芸術家は決して報酬のみによって、影響されないことを示す他の研究もあります。

ある研究において、5年生と6年生の少女が、幼児の家庭教師をつとめる場面が設定されました。彼女たちの教えぶりがよければ、その報酬として、映画の 無料チケットを渡すことが約束されました。この取り引きがある場合、彼女たちの家庭教師ぶりは、余り効果的なものではありませんでした。

James Gabarino (現在、 Chicago’s Erikson Institute for Advanced Studies in Child Development 所長) による、この研究は、次の事実を示しています。それは、報酬のために働く家庭教師は、報酬なしの家庭教師と比べて、教える内容を生徒に理解させるために、より長い時間をかけ、すぐにいらいらしてしまい、結局、余りよい家庭教師ぶりではないという事実です。

このような発見は、お金を与えることが、ひとびとを動機づけるために効果的で、かつ、必要な方法でさえあるという、ひろく知れ渡った信仰に疑問付を投げつけるものです。この発見は、報酬を与えれば、どんな行動も生じやすくなるという行動主義者の仮説への挑戦ともなります。創造性は操作的に条件づけることができるという考え方に、調査結果が、はっきりと「否」と唱えていると Ambile は いいます。

しかし、Kenneth McGraw (Mississippi 大学の心理学の準教授) は、この研究結果が行動主義自身の非妥当性を意味するものではないと注意しています。 「強化、および報酬の基本原則は、確かに有効なのです。ただし、限られた文脈においてですが」 限られた文脈とは、つまり、余り興味をひかない仕事が該当します。

報酬、およびパフォーマンスに関するついて驚くべき発見について、研究者はいくつかの説明を試みています。

第一に、報酬を支払うことで、ひとびとの興味をある仕事にしぼり、また、可能な限り迅速に少ないリスクで仕事を成し遂げるよう促進します。「もしも、労働者が、この仕事は賞をもらうために耐え忍ぶべき仕事なんだと考えるならば、彼らは、その仕事を余り創造的には行なわないでしょう」と、Ambile はいいます。

第二に、人々は、彼ら自身が報酬によってコントロールされていると感じるようになります。彼らは、自身が余り自律的でないと感じ、結果、パフォーマンスを低めることになるかも知れません。

「自己が決定しているという経験が制限されれば、創造性も小さなものになるでしょう」

と、Richard Ryan (Rochester 大学の心理学準教授) はいいます。

最後に、外発的な報酬は、内発的な興味を減退させてしまいます。お金や承認を得たり、競争に勝つために仕事をしていると考えるひとびとは、自身の仕事が余り楽しいものでないと感じます。それ故に、彼らは、うまく、その仕事をできなくなります。

最後の説明は、Ryan の Rochester 大学での指導者 Edward Deci による 15 年に渡る研究成果を反映したものです。1971 年、Deci は、「お金を支払うことは、長期的に見ると、活動のための内発的動機づけを奪い取ってしまう働きをするかもしれない」ことを示しました。

その 10 年後、Deci と彼の同僚は、他人に打ち勝とうという試みが、報酬を受けることと同様の効果を持っていることを示しました。パズルを速く解くために他人と競う学生は、そうでない学生と比べて、一旦実験が終ってしまうと、そのパズルをやめてしまうことが多かったのです。

2. 制御が果たす役割

しかしながら、ここに、一般的な見解の一致があります。

それは、報酬を支払うことすべてが、皆、同様の効果をもっているわけではないという見解です。実験への参加に対し、一律の謝礼を支払うことや、職場で定期的に賃金を与えることは、必ずしも内発的動機づけを低下させるわけではありません。

報酬が与えられた課題のパフォーマンスに対して、または、よい仕事をし終えたことに対して支払われるならば (それは、ちょうど、それぞれ、出来高払い、 特別賞与に対応しますが)、問題をより悪化させることになります。

従って、問題を解く鍵は、どのように報酬が受け手にとらえられているかという点にあります。もしも、私たちが、何かを得るために、仕事をしていると考えるようになれば、私たちは、もはや、その仕事自体をすることに価値があるとは思えなくなるでしょう。

うまく、この法則をあらわす古い冗談があります。

むかしむかし、あるところに、ひとりの老人がいました。この老人は、近所にすむ子どもたちから罵倒されて、悩んでいましたが、とうとう、ある撃退法を考え出しました。老人は子どもたちに、もし、火曜日にもう一度、罵倒すれば、一ドル、あげようともちかけました。子どもたちは、火曜日にあらわれて、一所懸命に罵倒し、お金をもらいました。

しかし、老人は、子どもたちに、水曜日だったら、25 セントしかあげれないよといいました。子どもたちは、水曜日に戻ってきて、もう一度、老人を罵倒しましたが、それは前回の4分の一程度の熱心さでした。そのとき、老人は、 子どもたちに、木曜日は一ぺニーしかあげられないと告げました。「気にしないで」と、子どもたちはいいました。そして、再び、子どもたちが、老人を罵倒することはありませんでした。

3. 手段と目的

1982 年、Stanford 心理学者 Mark L. Lepper は、ある課題が、一度はどんなに楽しそうに映っても、その課題を目的としてでなく、手段としてひとに与えるなら、その課題の価値は低下してしまうことを示しました。

彼は、幼児のグループに、ある課題をし終えるまでは、幼児の好きな別の課題に取り組むことができないと告げました。それ以前は、どちらの課題も同じように好きだったのにもかかわらず、二番目の課題の前にしなければならない一番目の課題を、幼児たちは嫌うようになったのでした。

ひとは、言葉によるフィードバックを、自分の行動を制御する道具として、他者が使っていると感じる場合があります。この場合、その言葉かけをすることが、報酬と同様の効果を動機づけに対してもつことは十分にありうることです。企業における従業員の研究において、「よろしい。あなたたちは、自分のなすべきことに沿って、仕事をやっています」と告げられた従業員は、有益なフィードバックをうけた他の従業員に比べて、有意に内発的動機づけが低いことを見い出しました。

Ryan によると、両者の違いは、「あなたの仕事は価値あるものです。だから、この報酬をあげましょう」と告げることと、「あなたは、私の定めた基準に従って行動しました。だからこの報酬を受け取ることができるのです」と告げることとの違いにあります。

似てはいないが、相互に関連する問題群は、創造性に関する場合に現れてきます。もちろん、芸術家は、生計を立てなくてはなりません。しかし、報酬の意味を軽視し、報酬を制御の手段として使用しないことによって、「報酬のもつ創造的な仕事への望ましくない効果を、最小限にとどめることができる」と Amabile は、いっています。

創造的仕事は、上述の研究が示唆するように、強制されて生まれるものでは決してなく、ただ偶然によって生まれてくるのを許容することしかできないのです。

まとめ

この「利益を第一に仕事をすれば、創造性と内発的興味は減退する」という言葉は私が最も好きな言葉のうちの一つです。創造的かつリスクをとり続けなければいけない仕事である「起業」を成功させるには、報酬ではなく、あなた自身の内面にあるものがとても大切なのです。

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