人体内部の情報伝達には、大きく2つの方法があります。一つは神経ネットワークによる信号伝達、もう一つはホルモンによる信号伝達です。
あるとき、あなたはタンスの角に足の小指をぶつけました。
タンスから足の小指に加えられた力は、皮膚、皮下組織、圧痛点を通じて、小指の神経に電気信号が流れます。神経から発生した電気信号は脊髄を通り、あなたの脳に到達し、足の刺激を脳が痛みとして認識されます。
これが神経ネットワークによる情報伝達です。
情報伝達の流れは足の小指というスタートがあり、脳というゴールがあります。神経ネットワークは運動制御に関わるので非常に高速なのが特徴で、一度発生した電気信号は神経を通じ、高速に相手側に届けられます。
対して、人体には神経ネットワークによる情報制御の他に、ホルモンによる情報伝達というものがあります。セトロニンやドーパミン、アドレナリン、オキシトシンといったホルモンはヒトの場合、男性で60種類、女性で110種類程あると言われています。
ホルモンによる情報制御というのは神経とは異なり、どこか到達点となるゴールがあるわけではありません。血管中の血液を通じてホルモンは移動し、扁桃体、視床下部、甲状腺、臓器器官と体中いたるところにバラまかれます。
ホルモンを受け取った各器官は、受け取ったホルモン量のバランスによって自らの動きを変えます。交換神経を活発にするFT3ホルモンが多くなれば活動が促進され、副交感神経を活発にするFT4ホルモンが多ければ、もうちょっと落ち着きなさいよ、というメカニズムです。
これは、FT3とFT4のバランスによって制御されていて、どういう振る舞いをするかは情報の発信側ではなく、受け手側の状態によって変わってきます。
インターネットではメールは神経、SNSはホルモンの情報伝達と同じ
なぜこんな話を書いたかというと、情報伝達には2つの方法があるということをあなたに知って欲しかったからです。
上記の神経ネットワークにおける情報伝達というのは、インターネットではメールにあたるものです。相手を決めメールアドレスを入力し、メールの内容を迅速に届ける。これがメールの基本的な仕組みです。相手にメッセージはすぐに届きます。
そして、TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークでのメッセージ、ブログの記事などはホルモンによる情報伝達に似ています。誰か特定の相手がいるわけではないが、より多くの人に情報を届け、情報の内容そのものではなく、その情報の受け手によって、情報の価値が決められるという点です。
様々な情報を受け取った受け手は、その様々な情報の中で自らのバランスを取りながら意思決定をし、行動を行います。たった1つのホルモン(情報)によって、制御されるわけではありません。
どちらの仕組みもそれぞれ目的があり、全体の制御のために必要とされるものです。目的に応じて適切な情報発信媒体を選び、有効活用していきましょう。