「たった1ドルでやめて欲しいことをやめさせた」ある老人の知恵

素晴らしいプロダクトやサービスが生まれるにはチーム次第とも言われており、会社でも家庭でも切っても切れないのが人間関係です。喜びや楽しみがある反面、日々行動を共にしているとやって欲しくないことというのもありますよね。当然注意をして改善を促すわけですが、単に「やめて下さい」と言ってもなかなか事態が変わらないこともあるでしょう。今日のテーマは、そんなときに思い出して欲しいある国に伝わる老人の昔話です。

老人

イジメられまくった老人とイジメまくった子供達

むかしむかしあるところに、1人の老人がいました。

この老人の家の近くには数多くの子供達が住んでいましたが、素行が悪い者が多く子供達から日々いたずらをされて悩んでいました。

老人は何度もやめるように言い聞かせましたが、子供達は聞く耳を持たず、老人の反応を面白がり、やめる気配はまったくありません。

「どうすれば、子供達のいたずらがなくなるのか…」

と考えていたある日、老人はあるアイデアを閃きました。

あくる日、子供達がまた老人にいたずらをするためにやってきました。

ひとしきり子供達のいたずらが終わったあと、老人は子供達に次のように言いました。

「火曜日にもう一度ここに来ていたずらすれば、1ドルを君たちにあげよう」

子供達は火曜日に老人のもとにあらわれて、一生懸命にいたずらしました。

約束通り老人は子供達に1ドルを手渡した後、次のように言いました。

「水曜日だったら25セントしかあげれないよ」

子供達は不満そうでしたが水曜日にやってきて、また老人にいたずらをしました。

そして老人は子供達に25セントを手渡し、次のように言いました。

「木曜日は1ぺニーしかあげられないよ」

子供達は「気にしないで」とつぶやき、去って行きました。

木曜日になり、老人は子供達が来るのを待っていましたが、いくら待てども子供達は姿をあらわしませんでした。

当初1ドルをもらっていた子供達は、1ペニーではやる意味を感じられなくなり、わざわざ老人のもとに行く気はすっかりなくなっていました。

こうして、子供達が老人に対していたずらをすることがなくなったそうです。

あんなに楽しかったことも、お金が関わると楽しくなくなることもある

いかがですか。この昔話が伝えようとしていることが何かわかりますか?

お金には4つの機能があります。そのうちの1つが価値評価に対する機能です。お金という物差しを与えることで、あるものごとの価値を測ることができるようになるわけです。

初めは面白半分、興味半分で老人をいじめるという行動をしていた子供達ですが、老人はその行動に対して1ドルという価格を提示しました。こうすることで、子供達にとっては自分たちの行動には1ドルの価値があるという認識が生まれはじめます。

イタズラはどうかと思いますが、良いにせよ悪いにせよ、お金を払ってくれる人がいるというのは、価値の存在を示しているからです。

そして、子供達は初めは単純に面白いからという目的でやっていたことが、お金が与えられたことで、お金を得るために行動をするようになっていくのです。

老人は、お金を払うことで

『子供達の行動の動機付けを、興味や好奇心といった自発的な動機付けから、お金という外発的な動機付けに変えた』

というのがこの昔話の言わんとしていることなのではないかと思います。

お金は現代においてとても強力な道具です。やりたいことをやらせないようにすることもできれば、やりたくないことをやらせるようにすることもできてしまいます。

何にせよお金は賢く使い、人が嫌がることをするのはやめて老人の知恵は大事にしたいものですね。

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