会社を作る時は、様々なことを決めなければいけません。これから会社を作ろうとしている人向けに、会社を作る方法をまとめました。
会社を作るときの参考にして下さい。
会社には必ず『定款(ていかん)』が必要です。
あなたが会社を作ろうと思ったとき、一番始めにやるべきことは会社の『定款(ていかん)を作ること』です。
定款には、会社法で定められた事項に従い、必ず明記しなければならないことがいくつかあります。あなたは、会社を作るためにそれらを1つずつ決めていかなければなりません。
『定款を作る』ために、あなたが決めなければいけない17のこと
1.『発起人(出資者)』を決める。
会社を作るときは、まず『誰がこの会社に出資をするのか?』を決めます。
いわゆる出資者であり、あなたの会社の株主にあたります。定款内では、発起人と表現されています。
発起人については、『発起人の氏名、住所、株の引受分、出資総額』に関する情報が必要です。
- 発起人の氏名
- 発起人の住所
- 株の引受分
- 出資総額(出資パーセンテージ)
この4つの情報が、出資者人数分あればOKです。
持株比率は会社の経営にとって、大変重要な要素です。創業者1人なら問題ありませんが、共同創業や資金調達を行う場合は、慎重に決めて下さい。
2.『役員』を決める。
出資者が決まったら、次は『誰がこの会社の役員になるのか?』を決めます。
役員には、代表取締役、取締役、監査役の3種類がありますが、最低限必要なのは代表取締役のみです。
役員については、『代表取締役の氏名、生年月日、住所』が必要です。他に取締役がいる場合は『取締役の氏名』、監査役がいる場合は『監査役の氏名』も必要になります。
- 代表取締役の氏名
- 代表取締役の住所
- 代表取締役の生年月日
- 取締役の氏名(※取締役がいる場合のみ)
- 監査役の氏名(※監査役がいる場合のみ)
この5つの情報が、役員人数分あればOKです。
3.『商号(会社名)』を決める。
商号を決めます。商号とは、会社名のことです。
- 『〜株式会社』なのか、『株式会社〜』なのか?
- わかりやすいか? 覚えやすいか?
- 同一住所に同一商号が登記されていないか?
などを考慮します。
社名は事業構築という観点から見た場合、営業開始後の集客力に、潜在的な影響を与える要素です。
自分たちだけでなく、自分たちが行おうとしている事業の顧客のことも考え、慎重に決める必要があります。
【社名を変更するには?】
社名を変更するには、定款の変更を行わなければならないため、株主総会での特別決議の可決が必要になり、変更登記手数料として30,000円かかります。
4.『商号(会社名)の英文表記』を決める。
商号(会社名)の英文表記を決めます。
英文表記は、以下の文言のうちのいずれかを末尾につけるのが一般的です。
- Co.,Ltd
- Company Limited
- Inc.
- Incorporation
- Corp
- Corporation
どれでも、好きなものを選んで下さい。
5.『本店所在地の住所』を決める。
会社の住所を決めます。
定款に記載する本店所在地の住所は、番地まで含めるのでなく、市区町村どまりにしておくと、引越をしたときに同一市区町村内であれば、定款変更手数料がかからないので節約になります。
6.『公告方法』を決める。
公告方法を『官報記載』か『電子公告』かを選びます。
電子公告を選択した場合は、URLも登記する必要があり、定款作成時点で会社のURL(ドメイン)が決まっている必要があります。
『官報記載』を選ぶのが一般的です。
7.『会社設立予定日』を決める。
会社の設立予定日を決めます。
会社の設立予定日は、創業記念日になりますので、その辺も考慮して決めると良いかもしれません。
8.『最初の決算日』を決める。
会社の決算日を決めます。
消費税の支払に影響します。
9.『資本金と資本準備金』を決める。
資本金の金額を決めます。資本金は1円〜設定できます。
設立後2年間の消費税免税措置を受けるために、資本金を999万円以下にするのがオススメです。
資本金が1000万円以下の場合は、資本準備金については考える必要はありません。
資本金が1000万円以上の場合は、資本準備金も考慮します。
【資本金が用意できないから、会社を作れないときはどうすればいい?】
『現物出資』という方法があります。資本金は、必ずしも現金である必要はありません。
10.『取締役会の設置』を決める。
『取締役会を設置する』か、『取締役会を設置しない』かを選びます。
取締役会を設置するためには、最低取締役3名、監査役1名の計4名が必要になるので、はじめは設置しないで良いと思います。
平成16年度の会社法制定後は、殆どの会社は取締役会を設置しない会社です。
11.『取締役の人数上限』を決める。
取締役の最大人数を決めます。最低1名以上必要です。
3名、5名、7名で設定することが多いです。
この人数はあくまで上限であり、設定した人数の取締役を置かなければならないというわけではありません。
12.『取締役の任期』を決める。
取締役の任期を決めます。1年〜10年の間で決めることができます。
任期ごとに役員変更登記手続が必要になります。
任期が長いと、『手間と費用を省ける』メリットがあります。
任期が短いと、『役員の見直しを行いやすいというメリット』があります。
13.『一株の価額』を決める。
一株の価額を決めます。この金額が、株価になります。
一般的には、1万円や5万円を目安に設定します。
14.『発行可能株式総数』を決める。
会社が株式を発行できる株式の総数を決めます。
発行可能株式総数は、増資をするときに影響してくる要素です。
ここで設定した数字は、取締役会の一存で決定することができるので、慎重に決めて下さい。
15.『株券の発行の有無』を決める。
『株券を発行するかしないか?』を決めます。
株券の発行にはコストがかかるので、一般的には発行しません。
16.『株式の譲渡制限』を決める。
株式の譲渡制限を決めます。
株式譲渡の承認方法として『株主総会』『代表取締役』『取締役』のいずれかから選びます。
この株式の譲渡制限を設定することで、株主は承認なく株を売却することはできなくなります。この制限が設けられた会社のことを株式譲渡制限会社と言います。
経営の安定化を図るため、株式の譲渡制限を設けるのは一般的です。
逆に、この株式の譲渡制限がない会社のことを公開会社と言います。
詳しくは『授権資本制度』で調べてみて下さい。
【株式譲渡制限会社とは】
- 株式譲渡制限会社とは、株式の譲渡について承認を必要とすることを定款で定めている株式会社のこと。
- つまり、『もしあなたが、株式譲渡制限会社の株を持っていたとしても、定款で決められた承認を得なければ、その株を売却することはできない』ということです。
17.『会社の事業目的』を決める。
『会社の事業目的』を決めます。いわゆる事業内容です。
よく会社概要のページを見ると、書かれていることにあたります。
最後に「前各号に附随又は関連する一切の業務」と記載することで、できることに幅を持たせることができます。
この17項目が決まれば、定款は作れます。
ズラズラと書きましたが、各項目には定型的なものもあれば、これから作ろうとしている会社の性質をよく考えて決めなければいけないこともあります。
定款は、所有者である株主の権利と、運営者である経営者の権利について明文化されたものです。株主、起業家、経営者として、抑えるべきポイントをそれぞれきちんと抑えておきましょう。
会社をつくるために、何が必要?
会社をつくるためには、定款の内容以外に下記の5つが必要になります。
- 発起人(出資者)の印鑑証明書
- 役員(代表取締役、取締役、監査役)の印鑑証明書
- 実印(発起人、代表取締役、取締役個人の実印)
- 発起人の銀行口座(資本金が振り込まれた銀行口座のコピー)
- 法人用の印鑑
発起人(出資者)と代表取締役(取締役)を兼ねる場合は、計2通の印鑑証明書が必要になります。
会社をつくるために、費用はいくらかかるの?
株式会社を作るのであれば、定款認証費用と登録免許税は必ずかかります。
また、法人用の印鑑が必要になります。これらと、資本金、会社設立代行費用の合計額が会社設立にかかる金額です。
定款認証を電子認証にすることで、印紙代の4万円を節約することができます。
会社設立にかかる費用
- 定款認証費用 52,000円
- 登録免許税 150,000円
- 法人用印鑑 5,000円
- 資本金 1円から可能。
- 会社設立代行 サービス提供会社による。(1万〜数万円が相場)
資本金を抜かせば代行費用を含めても、30万もあれば誰でも会社をつくることができます。
期間は、2週間を目安にすれば十分です。
ちなみに、代行を頼まず自分でやった場合の最低金額は、20万7001円です。(定款認証費用+登録免許税+法人用印鑑+資本金の合計。)
ただし、実際に自分でやる場合は、上記以外にも交通費、通信費などの実費も発生してきます。
会社設立には、『会社設立代行サービス』を使うのが便利です。
この記事で説明したような情報を用意し、会社設立サービスを行なっている税理士や行政書士に持っていけば、2週間程度で会社を作ることができます。
会社をつくるときは、このような会社設立代行サービスを利用するのがオススメです。
会社設立代行会社には、様々な金額、種類のサービスがありますが、格安でも『顧問契約が必須のサービスもあります』ので、よくサービス内容を吟味して決めて下さい。
まとめ
起業において会社の設立は、アイデアを実行段階に移すはじめの大きな1歩です。
しかし、ここで書いたとおり『会社は、1人でもお金を用意し書類上の手続きを行えば、誰でも作ることができます。』
「会社が登記できなかったから起業で大失敗した、なんてことにはならない」わけで、会社設立は不確定要素の低いタスクです。
あえて語弊のある言い方をすれば、会社というのはモノに過ぎません。モノ(会社)のことばかりを考え、起業の本質であるコト(事業構築)を疎かにしていると、せっかく会社を作っても、うまくいきません。
会社設立は、いわば婚姻届のようなものです。結婚でも重要なのは婚姻届を出すことでなく、いかに夫婦円満に生活を行えるかであるはずです。
起業において本質的に重要なことは『あなたが誰に何を継続的に提供するか?』という事業そのものであり、会社はそのための手段に過ぎないということをくれぐれもお忘れなく。