検索エンジンといえばGoogleがデファクトスタンダードの状況であることは誰しもが認めることでしょう。BaiduやNaverといった検索エンジンも日本でのサービス提供を終了し、ますますGoogle1強の今日ですが、世の中には、Google以外の検索エンジンだってまだまだたくさんあります。今回はGoogle以外の検索エンジンについて調べてみました。
1994年〜2000年までの検索エンジン状況
この時期にGoogleもYahoo!もサービス提供を開始していますが、同時期他企業も検索エンジンサービスを提供していました。そんな激戦を生き抜き、現在も運営されている検索エンジンをご紹介します。
WebCrawler
「WEBをクロールするよ!」なんてストレートでシンプルなネーミングでしょう。その登場は古く、世界で初めて「全文検索」機能を実装した検索エンジンです。現在は、GoogleやYahooの検索結果の中から必要な情報を探し出して表示する「メタ検索エンジン」として動作しており、残念ながら英語圏の言語しかまともに検索できません。
Lycos(ライコス)
「ライコス」と発音します。カーネギーメロン大学の学生によってスタートアップとして立ち上がり、紆余曲折あって現在は日本語にも対応した検索機能を提供しています。画面もスッキリで広告が一切表示されないという今ではとても新鮮な体験ができる検索エンジンです。
Googleと比較すると検索結果はもちろん多くはありませんが、多けりゃいいってものでもありません。1999〜2000年辺りに日本では浜崎あゆみさんの曲で、大々的にCMを打ち出していたのが懐かしい。「トリケラトプス」とか検索してましたね。
Baidu(バイドゥ)
中国語で「百度」と書きます。日本でのサービス提供は2014年3月に終了しましたが、精度の高いIME(日本語変換ソフト)やshimejiというスマホ用IMEを無償配布したりしていましたが、それらが利用者に無断で入力内容のすべてをサーバに送信していたことが発覚するなどが一時期話題になりました(※Baiduでは「変換精度を上げるためだけに使用していた」と主張)。
しかし、中国では検索エンジンと言えばBaiduというぐらい圧倒的なシェアを誇っており、世界中でGoogleに次いで2番目に利用されている検索エンジンサービスです。また、人工知能(AI)研究の第一人者で知られるAndrew Ng氏を迎え、シリコンバレーに人工知能研究センターを設立したりしており、検索エンジンの基礎技術となる自然言語処理分野の研究開発にも余念がありません。Googleだけでなく、そろそろ13.5億人が使っている検索エンジンBaidu向けのSEOを考え始めてみても良いかもしれませんね。
2001年〜2010年の検索エンジン状況
この時期は、多くの検索エンジンが登場し短期間に消滅した時代でもあります。巨大な検索エンジン企業Googleに太刀打ちできなかったということでしょうか。生き残っている検索エンジンは以下のとおりです。
info.com
4文字のドメイン、うらやましいです。検索結果はナカナカのもので、それもそのはず。info.comはメタ検索エンジンで、Google、bing、Yahoo!、Yandexなどから情報を得ています。info.comは最初からメタ検索エンジンですが、はじめは自前のエンジンを持っていて、GoogleやYahoo!に吸収・合併され名前だけ残った検索エンジンが数多くあります。日本語での検索も問題ありません。
AOL Search
インターネット黎明期からあるアメリカのインターネット接続プロバイダとして名の知れたAOL(America Online)。2001年頃から独自の検索サービスを始めましたが、現在はGoogleのエンジンを使っているようです。老舗の看板に恥じることなく、いまでも世界最大のインターネット接続プロバイダとして君臨しています。日本語の検索もできます。
Ask.com
Ask.comって、検索エンジンだったんですね。「Ask.comツールバー」の印象が強いですが、現在でも米国において第4位の検索エンジン。国内では「無料ソフトをインストールするとホームページがAsk.comになる」という少し困った現象がときどき見られます。インストールのときに不用意に「同意」しなければいいのです。内容を読まず「次へ」で進めてはいけません。日本語検索OKです。
Yandex(ロシア)
Yandex(ヤンデックス)はロシア最大の検索エンジンです。サイトレスポンスは高速で、ロシア語サイトのyandex.ruのほか、アメリカの子会社によるグローバルサイト、yandex.comを展開しています。日本語のサイトはあまり登録されていませんが、ロシア人向けのウェブサイトなら、ここには絶対に登録しておきたいところです。検索結果の最下部には「Try Google Bing」という他社へのリンクをつけているところが良心的であり、ユーザービリティへの配慮がみてとれます。
2011年〜2015年の検索エンジン状況
それでも企業は、いまも新しい検索エンジンを開発しています。
YaCy
正確に言えば、YaCyは検索サイトではありません。しかし、検索エンジンです。どういうことかというと、YaCyは、P2P技術を使ったソフトウェアをあなたのマシンにインストールすることではじめて使えるようになる検索エンジンなのです。実際に使ってみるとその検索速度はけっして高速ではなく(ノードがまだ少ないからでしょう)、まだまだ実用的ではありませんがチャレンジングな試みは高く評価できます。
CloudKite(クラウドカイト)
クラウドカイトは、「Make a Cloud a better place for learning」をスローガンとしたGoogleドライブ上で共有した学習に役立つコンテンツを検索するためのサイトです。挑戦者の中にもグーグルが登場してしまいました。
Halalgoogling
Halalgooglingは、ムスリムのための検索エンジンです。英語やアラビア語など複数の言語に対応しています。残念ながら日本語には対応していませんが、アラビア語特有の文字が右から左に流れるという新鮮な感覚を味わうことができます。Google翻訳アドインなどで訳しながら読むのがおすすめです。一応日本語でも検索できます。
Sagool.jp(サグール)
日本の検索エンジン。シンプルなインターフェイスが特徴で、Googleではなかなか探せないページが見つかります。
⇒Googleでは見つからないものを探す検索エンジン サグール
まだまだある世界の検索エンジンサービス
いかがでしょうか。このほかにも世界にはまだまだ検索エンジンがたくさんあります。たとえば、国名と”Search Engine”というキーワードの組み合わせでGoogle検索してみてください。きっと、その国独自の私たちがまだ知らない未知の検索エンジンと巡りあえます。
私たちは検索エンジンやソーシャルメディアなどのフィルタを通じて、インターネットを使っています。インターネットとは元々自由な空間であり、自由な遊びの中にこそ、面白い発見があるのかもしれません。Googleは世界で23番目の検索エンジンですが、まだまだこの分野には可能性が埋もれています。フィルタを少し変えると、新たな発見が見つかりやすくなりますよ!