ギズモードを発端にした日本でのグーグルグラス発売について、なぜギズモードに過去にトラブルがあった企業の記事が掲載されたのか調べてみました。
グーグルグラス日本発売の発端
グーグルグラス日本発売の発端となった記事はこちらです。
このタイトルと記事内容により、多くのインターネットユーザーが、
『遂にグーグルグラスが日本でも買えるのか!』
と喜びました。そして、グーグルの公式発表だと思った方々が数多くいました。
無理もありません。通勤中や帰宅途中の電車の中でスマホからササッっと流し読みをしているときに、記事内で並行輸入と明記されていたとしても、このタイトルだけ見ればGoogleが発売するんだと思う可能性は高いでしょう。
また、グーグルグラスの販売ページを見ると、早期予約割引があったりして、買うならなるべく早く買った方がお得 というオファーが設置されています。
そのため、購入ボタン直下に明記されている注意事項や、特商法表記などを確認することなく、購入された方も少なからずいらっしゃるのではないかと思い、IT起業アカデミアでは次のような記事を公開しました。
ギークやガジェット好きに信頼されているギズモードがなぜ、過去にトラブルがあった企業の記事を掲載したのか?
今回の問題の発端は、多くのギークやガジェット好きに信頼されているギズモードが発表したのが大きな要因だと思っています。個人的には、それだけギズモードが信頼されている証であり、だからこそ残念に感じた人も多かったのではないかと思います。
これから書く内容は、調査を元にした筆者の推測ですので、その上でお読み下さい。
ギズモードのメディア媒体資料
こういうとき、真っ先に見るべきはそのメディアのメディア媒体資料です。各メディアはメディアの枠を広告主に販売するために、メディア媒体資料というものをほぼ必ず持っています。
ギズモードのメディア媒体資料は、下記のURLで公開されています。
- ギズモードメディア媒体資料
全部で24ページあって、ギズモードのページビューやユニークユーザー、ユーザー属性などが細かに明記されています。媒体資料の7ページからはSPONSORED POSTの紹介があり、次のように書かれています。
SPONSORED POST
企業発信の言葉ではなく、メディアのコンテクストに乗せ、
製品やサービスの魅力を最新記事としてポストします。
信頼されているメディアで、エディトリアルコンテンツと
同様のフォーマットで掲載するスポンサードポストは、
ソーシャル時代の新しい広告(ネイティブ・アド)として
注目を集めています。(ギズモード媒体資料p.7より引用)
企業発信の言葉ではなく、メディアのコンテクストに乗せ、 製品やサービスの魅力を最新記事としてポストします。
これがポイントの1つ目で、スポンサードポストの詳細は次のページに詳しく書かれています。
スポンサードポスト (プレミアムプラン)
- 想定PV 15,000~40,000
- 掲載料金 ¥1,400,000
- 記事公開 ①月曜日 11:00 or ②木曜日11:00
- 掲載期間 ①月曜日18:00-木曜日11:00 | ② 木曜日18:00-月曜日11:00
- 想定imp 1,000,000 (PC)
- 申込期限 15 営業日前 18:00
- レポート デイリーPV・ソーシャルプラグイン (掲載開始より14日間分で計測)
(ギズモード媒体資料p.8より引用)
要は、一定の審査を満たした上で140万円を払えば、ギズモードに掲載してもらえるわけです。プロのライターによって、”メディアのコンテクストに乗せ、 製品やサービスの魅力が伝わる“ように。
2つ目のポイントは、該当の記事は2014.01.06 17:45に公開されていることがわかります。1月6日は月曜日ですから、月曜日18時に間に合わせるように掲載を開始したのではないでしょうか。
そして、3つ目は、この記事を書かれたライターさんの心境。聞くところによると、担当したライターさんもこの記事を書くのは随分悩んだそうです。
これら3つの理由から、今回の件は恐らく単純に記事広告なんだろうなぁと推測しています。
インターネット業界やメディア業界にいる人にとっては「いまさら何を言っているんだ」という当たり前の話なんですが、他業界にいたり、あまり身近でない方は、こういうことがあるのだと参考にしてもらえればと思います。
興味があれば、ギズモードだけでなく大手メディアの媒体資料もチェックしてみて下さい。私たちが普段情報を入手するためにインターネットで接しているメディアそれぞれの特性が見えて、とても勉強になりますよ。
【追記】記事広告ではなく、一般記事のようです。
更に調べたところ、ギズモードでは広告記事の場合PRアイコンが掲載されるとのことです。また、以下のURLに広告記事一覧があり、該当記事はこの中に含まれていませんでした。
- PRに関する記事一覧 : ギズモード・ジャパン
ですので、該当の記事は記事広告ではなく、一般記事となります。企業発信によるプレスリリースを元に記事の掲載がされているようです。
情報の受信者・生活者は、ビジネスを作る側の思考を知った上でキチンと判断しよう。
儲かるビジネス、利益の出るビジネスをつくるために、このような方法は至るところで使われています。
- みんなが欲しがる人気のある商品を、用意する。
- 信頼されている大手メディアへの掲載で、アクセスを集める。
- ランディングページや販売ページで限定オファーを設置し、コンバージョンを高める。
こういう誘導導線を作るのがビジネスを作る側の思考であり、仕組み作りですし、アクセスを集めるために大手メディアへの掲載を依頼したり、購入をしてもらうために限定オファーを設置するのは今回の件に限らず、多くの一般的な企業も行っている伝統的な手法です。
ビジネスというのは、どんな人がやろうがこの3つさえあれば成り立つものです。良くも悪くも、この3つがビジネスを成立させるための条件なので、だからこそ提供者のビジョンや倫理観が問われてきます。ビジョンや倫理観によって、ビジネスとしてのメカニズムは同じだったとしても、各事業者間の違いというのが生まれてくるからです。
世の中には様々なビジネスがありますので、こういう仕組みやビジネスの導線を知り、キチンと理解した上で取引をしましょう。
今回の問題について、ギズモードは該当記事に謝罪文を掲載されていますので、あわせてご確認下さい。
[…] なぜ、ギズモードにトラブルの多い企業のグーグルグラス記事が掲載されたのか調べてみた。 […]
ギズモードでGoogle検索すると”ミッション成功”と出てきますが、何のミッションをどのクライアントから得てるんですかね。不思議なニュースサイトです。