あまり考えたいことではないかもしれませんが、もしあなたが亡くなった時、あなたが使っているパソコンやスマートフォンはどのように扱われるのが望ましいでしょうか? パソコンやスマートフォンに入っているメールや写真、FacebookやTwitterのアカウントはどうなるのでしょう。このような故人のパーソナルデータを「デジタル遺品」と呼び、昨今注目を集めています。
デジタル遺品とは?
昨今、新しく出てきた問題として注目されはじめた「デジタル遺品」という言葉ですが、
いわゆる故人が残したIT機器やそれに蓄積、保存された情報の総称を表す言葉です。
膨大な情報が詰まったパソコンやスマートフォン・タブレットなどの電子機器は、多種多様な形で存在し個人が複数を所有することが多くなりました。その結果、思わぬ形で「遺品」となってしまったIT機器の存在がある問題を抱えています。
残された人、遺族たちへの問題
たとえ家族であっても日記帳や手帳など、プライベートを記したものは見られたくないと考える人が大半です。デジタル遺品の情報量は膨大であり、本人も忘れているプライベートな情報が詰まっている可能性があります。
「知らぬが仏」という言葉があるように、知らないなら知らないほうがいいという情報は家族間でも存在します。やましいことがなくとも、故人からすれば勝手に見てほしくないと考えるのが一般的な感情でしょう。
パスワード管理された情報が問題になる可能性
個人情報保護の観点から、ITデバイスはパスワード管理されています。パスワードは家族間であっても教えあうことはしませんし、教えてもらっていても忘れてしまうことが多いのではないでしょうか。
家族の友人の連絡先など、本人しか知りえない情報が詰まったものは、スマートフォンしかありません。手帳に連絡先を記入することも減り、年賀状すらパソコンで打ち出します。
パスワード管理された情報は、個人情報保護の観点からすれば守られている環境ですが、突然の別れの場合、パスワードが不明で連絡先が判明せず、故人の友人にすら連絡できないという問題に直面します。
第三者がパスワード管理された情報を本人の了解なく使用し、行動をしなければならないような状況では、パスワード管理されている状態が問題となります。
【生前の問題】死後、デジタル情報はどのように扱うのか?
「自分の死後、IT機器をどのように扱ってほしいということを考えたことはありますか?」
もし破棄を希望するならば、「デジタル機器は一切破棄してほしい」という旨を残す必要があります。破棄したとしても、残された人が困るようなことがないように前もって準備しておかなければなりません。
どういった情報が入っているのか、自分でも把握できていないというのは情報トラブルの元です。部屋の掃除と同様に、年に一度くらい情報機器類の大掃除が必要なのかもしれません。
プライベート情報をどこまで開示するのか?
常識やモラルの観点からすると、たとえ家族間であっても第三者が許可を得ずに閲覧するというのは、気持ちがいいことではありません。突然の別れが発生した場合に、使用者以外の人が必要になる情報は「連絡先」です。
誰が友達で、誰と仲が良く、誰が会社の人なのか、上司なのか、そういった情報がすぐに必要になります。電話帳の整理整頓は一番必要かつ、必ず誰かに見られるものであるということを忘れないように覚えておくことが大切です。
デジタル遺産を破棄する前に確認すること
故人の遺志を尊重して何も見ずに破棄しようと考えるのがよさそうに感じてきますが、家族に内緒で思わぬ資産運用や内職をしている可能性があります。
仕事先の連絡がメールアドレスのみであるような、ネット上のやり取りだけで行うクラウドソーシングなどの仕事はたくさん存在します。また、株式投資などの資産運用をしている場合は、大切な情報が残されています。
破棄をするにしても「本当に破棄していいのか?」を判断しなければなりません。
データの中身を判断する第三者の存在
パソコンやスマートフォンなど操作が難しいものを使用できないという人はたくさんいます。故人としては勝手に情報を見られることがないと安心できるかもしれませんが、残された家族には破棄して困る情報である可能性が存在するのです。
そこで、遺品として残されたデジタル機器を確認し、写真や思わぬ資産の情報などの救出する業者がいます。
家族に見られるよりは、まったく知らない第三者の業者に委託し、情報の整理をしてもらうというのは故人と残された家族の負担が一番少ないと手段だと感じます。
デジタル社会だからこそ、アナログに記録することも大切に
矛盾しているように感じますが、デジタル遺品の問題に対する解決策は、情報をアナログ化することです。
例えば各種サイトのパスワードなど、普段は家族に伝えていなくとも、何かしら問題が起きた場合には対応できるようにサイト情報やID・パスワードを記載しておき、「取引の中止をしてほしい」というような意思表示を記しておきます。
たとえ家族には機器の操作ができないとしても、業者に委託した場合にその紙を渡すように残しておけば問題ありません。
デジタル遺品の解決策こそ、終活である
デジタル遺品というような問題が出ている今の時代に一番求められているのは「遺書」の活用だと思います。遺書というと仰々しい感じがしますが、プライベートを守るための「遺書」です。
個人情報というのは、本人が自覚していないだけで膨大な量が存在します。TwitterやFacebookなどSNSの活用を家族が知らないという場合がほとんどです。
必要になるであろう情報をあらかじめアナログ化することで、デジタル遺品の捜索時にプライベートな部分の余計な開示をすることなく、家族が安心して破棄できる状況を用意しておくというのが一番の解決策ではないでしょうか。
開示可能な情報を自分で選別し「遺書」という形でエンディングノートに記しておくことにより、デジタル遺品のトラブルはかなりの確率で避けられるでしょう。そういった面からも、「終活」に着目するのは、年齢を問わず必要になった時代なのだと思います。
この問題、あなたならどう解決しますか?