日本人が『お金を目的に』IT起業してはいけない理由

IT起業は創造的な仕事です。機械でもできるような単純な仕事ではありません。

『人間が何かをやる』には動機が必要だ。

何の理由もなく、起業のようなリスクのある新しいことを始めたいと思う人間はいません。人間が今までとは違う何か新しいことにチャレンジするには、自分なりの理由が必要です。

なぜ、自分がこれをやるのか?』という質問に対する答え。それが動機付けです。

動機付けには『外的動機付け』と『内的動機付け』の2種類がある。

動機付けには、2つの種類があります。『外的動機付け』と『内的動機付け』です。

外的動機付けというのは『何かをしたら、何かが得られるメカニズム』です。一言で言えば、『アメとムチ』です。目の前にニンジンを下げられた馬がいる世界です。

    • アメがもらえるから、ムチを受ける人。
    • 目の前のニンジンを食べたいから、走る馬。
    • お金が欲しいから、働くサラリーマン。

これらはすべて外的動機付けの思考です。

内的動機付けというのは『自主性のメカニズム』です。残念ながらこちらの世界には、馬の目の前にニンジンはありません。

    • その仕事が重要だと思ったから、やる人。
    • 走ることが好きだから、走る馬。
    • 面白いと思ったから、働くサラリーマン。

これらはすべて内的動機付けの思考です。

どちらが良い悪いという話ではありません。

あなたが、どちらの動機付けで仕事をした方がパフォーマンスを発揮できるのか、どちらの動機付けで人生の貴重な時間を消費し仕事をしたいか、ということです。

どちらの動機付けで自分を動かすか、自分の動機付けを自分で選んでいるか?という点が、重要なのです。

動機付けの種類によって、仕事のパフォーマンスが違う。

そして重要なのは、この2つの動機付けの違いによって仕事のパフォーマンスに差が出る、という事実です。これは科学的に証明されています。

外的動機付けは、答えのある作業で大きなパフォーマンスを発揮します。 何かある仕事があるとします。既にその作業をやるのが最も効果が高いとわかっているような、答えが出ている問題です。 このような状況においては、外的動機付けであるアメとムチの動機付けを使った方が、大きなパフォーマンスを発揮します。

内的動機付けは、答えのない作業で大きなパフォーマンスを発揮します。 「ある目的を実現するために、どういうことをやればいいか?」というような、抽象的で、明確な答えが存在しない問題です。 こういう状況においては、内的動機付けである自主性の動機付けを使った方が、大きなパフォーマンスを発揮します。

『儲かるから、稼げるから』という理由でIT起業が成功しないワケ

この動機付けの話からわかることは、『稼げるから、儲かるからIT起業をする』というのは、起業を成功させるための効率的なアプローチではない。ということです。

問題には、2種類の問題があります。答えのある問題と、答えのない問題。 そして動機付けには、2種類の動機付けがあります。これまでお話した外的動機付けと内的動機付けです。

起業というのは、答えのない問題の典型例です。答えのない問題にも関わらず、『お金が欲しい、稼げるから、儲かるから』という外的動機付けで、自分を動かそうとするからうまくいかないのです。

答えのない複雑な問題に向きあうときは、アメとムチではなく、自主性と時間を用意した方が継続力が増し、成功しやすいのです。

日本人が、稼げるから、儲かるから』を理由にIT起業を始めると、『お金を得るという結果ばかりを追い求め、中々出ない結果のためにモチベーションが下がり、結局途中で辞めてしまい失敗するというパターン』に陥りがちです。

IT起業の成功確率を上げるには、お金が欲しいという外的動機付けではなく、自分がやるべきことだったり、それをやること自体が楽しいという、内的動機付けで始めることが重要です。

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