山で遭難したときに助かるかどうかは、クライマーの状況判断や登山技術、経験も重要ですが最終的には『こっちの道(判断)で正しいんだと思えるか、信じられるかどうか』で決まるそうです。
何でも始めの景色は美しい。「欠乏」からが本番スタート。
これ、起業でも非常に良く似ていて、大抵、初めは「さあこれから山を登ろう」とウキウキ気分で希望に満ち溢れていたりします。始めのうちは不安ながらも多少の余裕(資本金とか、仲間とか)があるので、徹底的に行動をし当初の計画を順調にこなしていきますが、それらが一定点に達した時、雲行きが怪しくなり始めます。
それは、こんな状況です。
自分が良いと思ってやってるんだけど続けても続けてもお金が入ってこない状況、そのお金がないと明日、1週間後、1ヶ月後生きていけないと思う状況です。もしあなたがこの状態を味わっているのであれば、それがまさに起業をしている時の状況です。この状況になったときが本番スタートです。
『何とかしなきゃいけない。』
今何とかしないと、明日、1週間後、1ヶ月後どうなるかわからない。そういう緊張感の中で、今できる最善のことを判断し実行していくわけです。
『結果が出るか出ないかなんてわからずに。』
大抵の人は、ここで脱落していきます。思い返してみると、私が過去に失敗したものでもこの部分で死んだものが大半でした。
一般的な統計において起業の成功率が低い、起業をする人の数が少ないのはこの段階の恐怖があるからです。要は、やってもお金が稼げないんじゃないか、日々の生活ができないんじゃないか、という恐怖です。
人間とはよくできたものでその恐怖にもそのうち慣れてきて、ちゃんと環境に適応する高所順応ができるようになるわけですが、サラリーマンしかやったことがないと始めのうちはかなりの恐怖と不安を抱くことになるでしょう。
年をとればとるほど起業しづらくなると言われていたりしますが、数字的な側面(お金などの生活費)以外の要因で、感情的にもリスクをとれなくなる原因は、この心理的恐怖が大きいと思います。だからこそ、若いうちの方が起業はやりやすいんですね。
極限的な状況が人を行動させ、結果を生み出す。
もしかしたら、頂きに到着するためのルートが描かれた最低限の地図となる計画は持っているかもしれません。しかし、その地図は想像や伝聞、予想、過去のデータを基に書かれたものが大半です。また、環境は刻一刻と変わるものですから、実際には自分の足で現場を歩いてみなければわかりません。
そういう状況に置かれるから、いろいろなことを試すわけです。正確に言えば、試さざるを得ない状態になる。この試さざるをえない状況というのは、サラリーマンをやっていたのではなかなか手に入りません。(※多くの場合、サラリーマンはやるべきことは決まっていて、そのTodoを消化していくことに労力が割かれるようになっていますから)
そして、その沢山試した中から『お、これは!』というものがみつかるわけです。
多くの人が気づいていない、実行していない、これ前から知っていたのに、こんな価値があるとは気づかなかった、そんな風に思えるものです。ピンチはチャンスというのは本当です。重要なのは、あなたがそれに気づけるかどうか。
ここがわかってしまえば、しめたものです。もう、こっちのものです。あとは、その発見を使って更に成長させて行けばいい。今まで暗闇の中で試行錯誤していたことが、たった一つに事に集中すれば良いと気づいた瞬間です。
これが大きな転換点となります。
私だけでなく、起業や投資で一定の成果を出した人は誰しもこういう体験、感覚を持っているはずです。
多くの方のコンサルティングのご相談内容を伺ってみると、この部分で躊躇や不安を持っているのがよくわかります。
「それはあなただけじゃなくて、こっちの道を歩こうとする人はみんな味わうこと」です。
だから、始めからそういうものなんだと思ってとりあえず歩き続けてみるのが良いです。
ちゃんと歩いてさえいれば、あるときふと目の前の景色が変わりますよ。