「テレプレゼンスロボット」というのをご存知でしょうか? 最近、シリコンバレーなどを米国西海岸のスタートアップ企業が使い始め、にわかに注目を浴びているロボットです。今日は、そんなテレプレゼンスロボットに関してまとめました。
様々なシーンで活躍する自分の分身、それがテレプレゼンスロボット。
自分の顔を表示する画面が頭の代わりに存在し、離れた地で通信をしながらコミュニケーションが取れる「自分の分身」となるロボットがテレプレゼンスロボットです。基本的な形として、操作している人の顔がわかるように顔の位置に画面があり、操作している人の顔が映し出されます。
また、カメラも搭載されていますので操縦者にはロボットがいる場所の風景や音声をダイレクトに受け取ることができます。操作も非常に簡単であるため、注目を集めている最新技術です。
テレプレゼンスロボットは、どんな場面で活躍するのか?
最初に注目された場面は、福祉・介護関係での活躍です。長く入院している患者さんや、激しい運動など制限がある方を対象として活躍するのがテレプレゼンスロボットです。テレプレゼンスロボットを操作することで、病院にいながら旅行を楽しむことができますし、どんな場所にでも外出が可能になります。友人たちのお見舞いを待つことなく、自分で会いに行くことができるのです。
また、ハンディキャップを気にすることなくコミュニケーションを楽しむことが可能となります。場所・時間・体力を考慮する必要がなく分身が代わりに動き、現地へ赴いてくれるという新しいツールは、活躍の場を広げるのではないかといわれています。
特に、ビジネスシーンでも活躍する可能性を秘めている
介護や福祉などで真っ先に注目を浴びたテレプレゼンスロボットですが、ビジネスシーンでも注目を集め始めました。どれだけ優秀な人材だとしても、一人の人間が様々な場所から求められ対応するには限界があります。世界中を駆け巡って仕事をするのはいいのですが、移動時間のロスは否めません。
そういった場合に活躍するのが、テレプレゼンスロボットです。
本人はその場にいなくても、自分の代理として存在しコミュニケーションをとることが可能になります。人間が移動することなく、世界各地で繋がるコミュニケーションのツールとして将来の活躍が期待されています。
ただのコミュニケーションツールとしてではなく、会社としても優秀な人材の無駄な時間を減少させ、移動費などの経費削減にも繋がるため注目が集まっています。
夢のツールじゃない!もう既に使用が開始されている
オバマ大統領もホワイトハウスでテレプレゼンスロボットを使用した面会を行っています。その場所に行くことが困難というような状況を打破できるロボットの活躍は、将来様々なシーンでの活躍が予想されます。
ビジネスから福祉・教育関係など、塾に行かなくても先生がロボットで家庭教師のように赴いてくれる日がくるかもしれません。旅行中にペットの様子が気になる時は、ペットシッターだけではなくテレプレゼンスロボットを用いて世話をすることも可能になる未来がそう遠くないのかもしれません。
将来のコミュニケーションツールとして必需品になる時代は、すぐそこまで来ているのではないでしょうか。
テレプレゼンスロボットの最大のメリットとは?
企業では、インターネット通信を使用したツールでミーティングなどのコミュニケーションを実現しています。
「今既に離れていても顔を見て話すことができるのに、なぜロボット必要なのか?」
と感じるかもしれませんが、現在使われているツールのデメリットは、
「場所の移動ができない」
ということです。
非常に遠い場所で行われる展示会の会場内を自由に動き回り、自分の目で確かめ、現地にいる人と話をするというのはテレプレゼンスロボットでしかできないことなのです。
自分の意思で移動ができ、現地を歩き回ることができるというのは、テレプレゼンスロボット最大のメリットだといえます。
会議室で議論するよりも「現地を視察してほしい」という要望に「今すぐ行きましょう」と返答できるというのは、本人が現地にいなければできない返事です。レスポンスの早さは、ビジネスシーンにとっては最大の武器であり、時間を最大限に利用したい場合に非常に役に立つコミュニケーションツールといえるでしょう。
従業員が世界中を駆け巡る時間全てを、作業に費やせるようになるわけです。
店員がいない店が増える将来
店員がテレプレゼンスロボットで対応するという可能性もあります。
人件費を抑えるため、最低限の店員を通信センターなどに配置し、店内には店員がいない状態で店を運営することも可能になるわけです。
コミュニケーションは、店頭で案内する状況とほぼ変わらない対応が可能となり、テレプレゼンスロボットを使って人が店で行うサービスを提供することも不可能ではないのです。
身近なテレプレゼンスロボットは、白い犬でお馴染みのアレ?
CMでもおなじみのソフトバンクで登場したロボット「Pepper」ですが、これもテレプレゼンスロボットのひとつになります。こちらは操縦者がいないタイプであり、誰かの身代わりとして動いているというわけではありません。自身で動き・考え・回答し・話をするというタイプのロボットになります。
ロボット産業はどのように進化するのか?
アニメ攻殻機動隊のような世界観が実現した場合、自分の脳までも電子化され様々な処理が瞬時に行えるようになるかもしれません。そんな便利な世界観でも、ロボットは存在するのです。
企業として考えれば、経費削減は必須事項です。その中でも人件費は一番高い部類の経費だと思います。それが24時間文句もなく働き続け、メンテナンスをすることで一定した単純作業をしてくれるロボットが存在したとしたら、どうでしょうか?企業としてロボット導入のほうにメリットが大きいと考えるのではないかと感じます。
とはいえ、完全に人間を排除するわけではなく、ロボットを統率する人間が必要になるでしょう。そういった人材の雇用・ロボットのメンテナンス・修理等の新しい業種が増えていく時代になるのではないでしょうか。
将来、冷蔵庫は話しをするようになり、洗濯機は「畳む」まで行ってくれるようになるかもしれません。掃除機は既にロボット化しています。食事を作ることが自動化するとなると、レシピを考える管理栄養士と、ロボットに伝達する操縦者の雇用が増えそうですね。たったひとつのロボットから、将来はまるで違ったものに変化していく可能性を秘めているのです。
一家に一台の時代へ
技術は日々進化しておりテレプレゼンスロボットも、様々な機能を搭載することになるでしょう。ロボット自身で動き・考え・行動するようになり、操縦者が遠隔操作することで身代わりにもなるロボットへと進化していくのではないでしょうか。
「買い物に行くから、何が必要かチェックしてくれる?」とロボットに話しかけると、普段から買い求めている食材や生活用品をリストアップし操縦者に伝えます。「買い物に行こうと思ったけれど、時間がなくなったから代わりに行ってきてくれる?」と話しかけると、ロボットは自分で外出し、買い物に行くようになるかもしれません。
「指示をされずに人間と同じような行動」をするロボットの実現はハードルが高いと考えられます。人間が指示した通りに動き、あくまで人間のアシストを目的とするロボットが「テレプレゼンスロボット」なのだと思います。